Worldpayによる現金決済件数の国別比較によると、日本は2019年の62%から2023年は41%に、インドは2019年の66%から2023年は18%になり、インドの現金決済数が大幅に減少しています。2019年頃は、日本もインドも現金による支払いが6割を超えていましたが、2023年のインドのキャシュレス決済の増加が顕著です。
インドのキャシュレス決済が急に増えた原因は、2016年の500ルピー(約1000円)以上の高額紙幣の廃止、個人識別番号制度「アダール:Aadhaar」導入による銀行口座開設及び税の徴収、記録が確実に残る金銭管理の容易性等が考えられます。また、広大な国土で現金を管理するコストの削減や新型コロナ禍による非接触型の決済システムの要求が大きかったことも理由の一つです。
インドでは、国営のインド決済公社(NPCI*1)が整備した統合決済インターフェース(UPI*2)と呼ばれる手数料ゼロの即時決済システムが、QRコード等を利用したキャシュレス決済で活用されています。日本はクレジットカードによる支払いが主体ですが、インドはスマートフォン等によるモバイル決済が中心になっています。
現金神話が根強かったインドと日本において、インド決済公社の努力によりインドが猛烈な勢いでキャシュレスに進む中、日本もインドを見習ってキャシュレス決済を普及しやすくするシステムが早期に出現するのではないかと期待せずにはいられません。
(注)*1: National Payments Corporation of India
*2: Unified Payments Interface
(現金決済件数の国別推移:Worldpay)