インドは、12月から2月にかけて、中国にコメ10万トンを輸出します。6月に発生した印中実効支配線付近での衝突等、中国との政治的緊張にもかかわらず、30年ぶりの輸出になります。
インドは世界最大のコメ輸出国で、バスマティ(Basmati)米等世界的に有名なコメを生産しており、中国は最大の輸入国です。中国は年間400万トンをタイ、ベトナム、ミヤンマー等から輸入していましたが、天候不良や新型コロナウィルス等により従来通りの輸入が困難な状況になっていました。インドからのコメ輸入については、品質や価格を理由に避けていましたが、インドが価格を下げたこともあり、契約に結び付いたものです。
輸出するコメは、インドのバティスタ米以外の砕米(Broken rice)で、コメの品位としては低く、通常麺類や酒類の製造に使用されます。輸出するコメの価格は、トン当たり約300ドルで、タイ産より30ドル安かったと言われています。
中国はコメの継続輸入について品質と価格から判断すると表明しており、インドの国民として受け入れがたい感情もありますが、対中国貿易の輸入超過対策という意味もあります。実効支配線沿いの衝突や中国製品の不買運動が起こったりしている中、この米の輸出が今後の中印関係にどのような影響を及ぼしていくのか、引き続き注視して行く必要があるでしょう。
(Business standard.com)