インドの農民は、9月の農業関連法の改定に反発し、11月下旬から全国的なストライキを実施しており、12月10日現在15日間抗議を続けています。
改定された法案は、農家が農産品を民間業者に直接販売しやすくし、農家の所得及び生産性等を向上させることを目的としたものです。農産物は、最低支持価格(MSP:Minimum Support Price)が保障された州運営の市場マンディ(Mandi)で販売することが義務付けられていましたが、中間業者を排除し、市場価格での販売が可能になりました。
しかしながら、農民はMSPが撤廃されることを恐れ、民間の購入業者との価格競争を心配しています。大手の食品業者が市場を支配することにより、農地を失ったり農家の経済的不利益につながるとして、法案の廃止を要求しています。
農業はインドの重要な産業で、国内総生産(GDP)の15%近くを占め、約13億人の国民の半数以上が農業で生計を立てています。そもそも本法案は、マンディにおける既得権益を排除して農民が自ら価格を決め、マンディに縛られない自由な取引を助長するためのものなので、やる気のある農民には願ってもない政策のはずですが、新しいことに挑戦することを恐れる人々はどこにもいるものです。本農業政策が軌道に乗り、農民の収益及び生産性が向上し、農業がより魅力的なものに成長することを期待したいと思います。