前年度予算はモディ政権初めての独自予算。モディ政権となって、GDP成長率が向上し(6.3%→7.6%)、インフレ率が減少(9.4%→5.4%)したことは素直に評価すべきでしょう。また、財政赤字が減少(3.9%→3.5%)したことも評価できます。
2016年度予算の特徴は、国民全体の健康を含めた生活レベル特に貧困層、農村部の生活レベルの所得増並びに教育レベルの底上げに重点が置かれている点です。また低所得者層向け住宅に対する減税処置なども、生活レベル向上の具体的な施策と言えるでしょう。一部にバラマキ的な予算との批判もありますが、モディ政権としては、インド国民全体の労働力の質を上げて若い力をより効果的な労働力として活用できるようにしたいという意図があると思われます。平均年齢25歳のインドは莫大な生産年齢人口を抱えています。この人口を労働力として活用する上で欠かせないのが労働力の質であり、その質の向上が生産性の向上に直結すると考えていると思われます。その意味では、予算の目指す方向は間違っていないと判断できます。