デリーでお会いしたパンデさんの話
先日デリーの某マーケットのベンチに腰掛けていたら目の前をインド人が行ったり来たり。何だろうこの人はと思って見上げたら目が合った。彼は近づいて来て「日本人か。」と尋ねたので「そうだ。」と答えると、人懐こい笑顔をして話しかけてきました。
「私はパンデと言い、仕事で1983年に日本を訪問した。東北に人を訪ねる用事があり、電車で宮城に行ったが、訪問先の道順が分からず困っていたら、自転車に乗った夫人が親切にも自転車を降りて押しながら訪ね先まで案内してくれた。ところが訪ねた人は引っ越してしまっており、会うことができなかった。夫人は途方に暮れている私を近くの交番まで連れて行ってくれた。その交番のお巡りさんが親切な方で、訪ね人の引越した先を管轄している交番まで案内してくれ、その交番のお巡りさんが引っ越し先の家まで案内してくれ、目当ての人に会うことができた。用件を済ませ列車に乗って帰路に着いたが感動の余りカバンを列車に置き忘れてしまった。カバンの中には2千ドル入っており、当時は大金であったが、駅員に事情を話したら、なんと翌日ホテルに電話があり、カバンを駅で預っているから取りに来てくれという内容だった。駅に行ってみるとカバンが保管されており、中の2千ドルは無事だった。私は、この出来事を生涯忘れることができず、日本人の誠実さと優しさに心から感謝している。」
話を聞いていた私達はとても誇らしい気持ちになりましたが、一方で今の日本人にこのような優しさはあるだろうかと、ふと不安な気持ちにもさせられてしまいました。
パンデさんからは翌日ディナーのお誘いを受けましたが、既にデリーを後にしてしまっていたためお受け出来なかったのが残念です。パンデさんは、デリーの某大学に勤務されていらっしゃいます。きっと学生さんにも日本の思い出話をして下さっていることでしょう。
またお会いできることを楽しみにしたいと思います。